講談と落語はどう違うのでしょうか?とよく聞かれます。私は自分の作ったギャグ「講談を聞くとためになる。落語を聞くとだめになる。」と答えます。これは冗談ですが、講談の話芸と言うのは、人の知的興味を引き出しながら、聞き手を話の世界に引き込みます。あの偉人の一生はどうだったのだろうか、あの名人はどのようにして、あの作品を作ったのだろうかと、人々が興味を持つテーマをうまくしゃべっていきます。
ですから講談は地の文で筋の説明をしていきます。日時や場所、登場人物などもはっきり出し、実際にあった出来事のように話をしていきます。ここで地の文を読む時に、名調子などと呼ばれるような、流れるような読み方が、お客様の拍手を呼びます。
さて、落語は笑わせることを目的とした話芸です。又、会話主体でストーリーを進めていきます。講談も会話はありますが、それは私たちの日常会話であるのに対し、落語は笑いを誘うために、どの会話の中にも仕掛けが隠されています。例えば「ハトが何かを落としていったね。」「フーン。」と言う小話。これは、何かと言うなぞなぞを聞き手に提示して、あとでダジャレで落ちをつけます。笑わせるための仕掛けを、仕込みと言ったりします。講談では「鳩が糞を落としていったね。」「ああ、そうだね。」となるだけです。
しかし、落語のジャンルの「人情話」と講談の「世話物」、もっとわかりやすく「怪談」を例にとると、根本的な違いはありません。ポンと二つに割り切れないところが、面白いと言えましょう。